1986年2月から2024年12月までの約39年間にわたるゼルダシリーズについて、初代ゼルダから知恵かりまで主要タイトル20作品の累積出荷本数(全世界ベース)をランキング表にまとめました。
図表

1位
ブレス オブ ザ ワイルド / Breath of the Wild
3,432 万本
2位
ティアーズ オブ ザ キングダム / Tears of the Kingdom
2,155 万本
3位
時のオカリナ / Ocarina of Time
1,404 万本
4位
夢をみる島 / Link’s Awakening
1,251 万本
5位
トワイライトプリンセス / Twilight Princess
986 万本
6位
スカイウォードソード / Skyward Sword
782 万本
7位
神々のトライフォース / A Link to the Past
743 万本
8位
ムジュラの仮面 / Majora’s Mask
682 万本
9位
風のタクト / The Wind Waker
679 万本
10位
ゼルダの伝説 / The Legend of Zelda
651 万本
11位
夢幻の砂時計 / Phantom Hourglass
476 万本
12位
リンクの冒険 / The Adventure of Link
438 万本
13位
神々のトライフォース2 / A Link Between Worlds
426 万本
14位
ふしぎの木の実 大地の章・時空の章 / Oracle of Ages/Seasons
399 万本
15位
知恵のかりもの / Echoes of Wisdom
391 万本
16位
大地の汽笛 / Spirit Tracks
296 万本
17位
神々のトライフォース&4つの剣 / A Link to the Past & Four Swords
282 万本
18位
ふしぎのぼうし / The Minish Cap
176 万本
19位
トライフォース3銃士 / Tri Force Heroes
136 万本
20位
4つの剣+ / Four Swords Adventures
54 万本
「ゼルダ」は非常に人気のあるタイトルですから、ゼルダシリーズの売上本数をまとめた記事や動画は珍しくありません。
しかし、出荷本数の計算根拠や出典が不明確なことが多く、個人的には物足りなさを感じることが多かったんですよね。
例えば、ゼルダシリーズ早見表でもまとめた通り、ゼルダシリーズは移植やリメイク版も多く、中には無視できないほど大きな販売数を記録しているものもあります。
それにもかかわらず、以下のような視点が不明確だったり、出典が明示されていなかったりすることが多いと感じます。
- 「オリジナル版」と「移植・リメイク版」を合算するのか?しないのか?
- 合算しないのであれば、その理由は?
例えば、「夢をみる島」の「オリジナル版(GB版)」(383万本)だけをカウントして、200万本以上売れたGBC版や600万本以上売れたNS版を除外する理由(目的)は何か?
私は主要タイトル別の人気度や影響度を知りたいので、本記事では できる限り移植版やリメイク版も独立して集計・合算した出荷本数 を算出しています。
主な出典は以下のものです。
・任天堂の決算資料
・任天堂ホームページ(主要タイトル販売実績)
・2023年までの「CESAゲーム白書」(以下「CESA統計」)
(なお、「CESAゲーム白書」は完全リニューアルされ、2024年度から「CESAゲーム産業レポート」として刊行)
「CESA統計」の調査方法は、CESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)による統一フォーマットの質問票(アンケート)に対し、ゲームメーカー各社が自主的に回答する、という方式です。
ある製品の正確な出荷数を把握できるのは「その製品を作っているメーカー自身」ですし、(業種は異なれど)メーカーに勤めていた自分の経験からしても、社外への「会社回答」を作成するにあたり「全く根拠がない」とか「いい加減で説明がつかない」数字を使用することはまずありません。
そのため、「CESA統計」は「出荷本数の実績値」として信頼度が高いと考えています。
なお、任天堂の公表資料でも、「CESA統計」でも、すべての「オリジナル版」と「移植・リメイク版」の数字を掲載しているわけではありません。
(たとえば、「CESA統計」は「ミリオンタイトル」に限定されるので、出荷本数100万本未満のタイトルは掲載されていません)
そのため、一部、私個人の考えに基づく推計値を「出荷本数とみなす」ケースがありますが、その場合の「推計」の考え方や計算方法は後述の 機種別出荷本数 で記載しています。
読解
「ランキング表」を振り返ると、ブレワイ、ティアキン、時オカ、夢をみる島 は別格ですね。
言うまでもなく「ブレワイ」と「時オカ」はいずれもゲーム史に永久に残る傑作でしょう。
ティアキン の評価が固まるのはもう少し時間が経ってからかもしれませんが、2000万本を優に超える実績はやはり破格。
「夢をみる島」も、今や「神トラ」を凌いで「2Dゼルダのお手本・教科書」というべきタイトルかもしれません。
とはいえ、原点である 初代ゼルダ とシリーズの確固たる土台を築いた 神トラ の影響力は数字だけでは到底計り知れませんし、その存在感や影響力はもはや殿堂入りクラスでしょう。
現時点ではランキング下位のタイトルでも、将来リメイク版などがリリースされれば一気に上位に食い込んで来る作品もあるはずなので、今後も定期的にチェックしていきたいと思います。
参考
動くグラフで見る ゼルダシリーズ売上ランキング
初代ゼルダからティアキンまで、1986年2月から2024年3月までの38年間のゼルダシリーズ売上ランキングの推移をバーチャートレース形式で振りかえります。
補完
機種別出荷本数
本記事で特に記載のない限り、下記でコンソール別出荷本数として挙げた数字は「2023CESAゲーム白書」(2023年7月、基準日:2022年12月31日)に基づく数字です。
1位:ブレス オブ ザ ワイルド
NS版(2017年)は3,262万本(2024年12月末時点、任天堂ホームページ主要タイトル販売実績参照)。
WiiU版(2017年)は170万本。
2位:ティアーズ オブ ザ キングダム
NS版(2023年)は2,155万本(2024年12月末時点、任天堂ホームページ主要タイトル販売実績参照)。
3位:時のオカリナ
N64版(1998年)は760万本。
3DS版「時のオカリナ3D」(2011年)は644万本。
4位:夢をみる島
GB版(1993年)は383万本。
GBC版「夢をみる島DX」(1998年)は222万本。
NS版(2019年)は646万本。
5位:トワイライトプリンセス
GC版(2006年)は143万本。
Wii版(2006年)は726万本。
WiiU版「トワイライトプリンセスHD」(2016年)は117万本。
6位:スカイウォードソード
Wii版(2011年)は367万本。
WiiU版(2016年)もありますが、こちらは全世界ベースでも100万本に届かなかったようで「CESA統計」には数字が出てきません。
NS版(2021年)は415万本。
7位:神々のトライフォース
SFC版(1991年)は461万本。
GBA版「神々のトライフォース&4つの剣」(2003年)は282万本※。
※「神々のトライフォース&4つの剣」は、「神トラ・リメイク版」と「4つの剣」の2つのタイトルを1つのソフトにパッケージしたものであるため、本記事では「『神トラ』としての出荷本数」と「『4つの剣』としての出荷本数」のいずれも「282万本出荷された」ものとして扱っています。
(つまり、「282万本」を二重計上しています)
8位:ムジュラの仮面
N64版(2000年)は336万本。
3DS版「ムジュラの仮面3D」(2015年)は346万本。
9位:風のタクト
GC版(2002年)は443万本。
WiiU版「風のタクトHD」(2013年)は236万本。
10位:(初代)ゼルダの伝説
651万本は、FCD版(1986年、日本)とROMカセット版(1987年、欧米)のみの合算値と思われます。
一方で、「初代ゼルダ」は、GBA版(ファミコンミニ)、各種VC版、ミニFC版、NSO版、G&W版など、移植版のバリエーションが最多で、影響度合いは出荷本数1,000万本クラスを優に超える と言っても過言ではないでしょう。
11位:夢幻の砂時計
「夢幻の砂時計」(DS版、2007年)は、移植版やリメイク版がない中で堂々の476万本。
WiiU・VC版(2016年)もリリースされましたが、2023年3月28日で販売サービスが終了しました。
ゼルダシリーズに限らず、DSソフトは「2画面&タッチペン操作」が前提となるため移植が難しい部分もあるかもしれませんが、買い切り型のVCスタイルにせよ、サブスク型のNSOスタイルにせよ、何とか将来のコンソール機でも遊べるようになることを願います。
12位:リンクの冒険
438万本は、「初代ゼルダ」と同じく、FCD版(1987年、日本)とROMカセット版(1988年、北米)の合算値と思われます。
また、「リンクの冒険」もGBA版(ファミコンミニ)、各種VC版、ミニFC版、NSO版、G&W版など移植版のバリエーションが多いので、「初代ゼルダ」ほどではないにせよ、その影響度合いはシリーズ屈指と言えるかもしれません。
一方で、「シリーズ唯一の横スクロール(ベルトスクロール)アクション」「難易度が高い」という尖った存在でもあるため、「とっつきにくい」「どちらかというとマイナー」という印象を持つ人も多いかもしれません。
13位:神々のトライフォース2
「神トラ2」(3DS版、2013年)も、移植版やリメイク版がない中で426万本は立派な数字です。
SFC版「神トラ」は「2D(見下ろし型、トップビュー)ゼルダのお手本・見本」とも言える存在ですが、この「神トラ2」は名前の通り「神トラ」の世界観やゲームシステムを踏襲した作品となっており、ゼルダ初心者にとってもとっつきやすい名作です。
こちらも将来のコンソール機で遊べるようになることを願います。
14位:ふしぎの木の実 大地の章・時空の章
「ふしぎの木の実」(GBA版、2001年)は、「大地の章」と「時空の章」の2つのタイトルに分けて同時発売されたソフトで、2つ合わせて399万本。
カプコンが中心となって開発された作品で、シリーズ初の「任天堂以外の会社が開発したゼルダ」としても有名です。
2023年7月27日から「ふしぎの木の実」(NSO版)の配信が開始されました。
15位:知恵のかりもの
NS版(2024年)は391万本(2024年12月末時点、任天堂ホームページ決算発表・IRイベントの2025年3月期第3四半期決算説明資料参照)。
16位:大地の汽笛
DS版(2009年)での出荷本数が296万本。
決して小さい数字ではありませんが、前作の「夢幻の砂時計」(2007年)が476万本(10位)であることを考えると、ゼルダシリーズとしては少し寂しい数字でしょうか。
「夢幻の砂時計」と同じく、「大地の汽笛」も2016年に「WiiU・VC版」がリリースされましたが、2023年3月28日で販売サービスが終了しました。
こちらも将来のコンソール機でも遊べるようになることを願います。
17位:神々のトライフォース&4つの剣
GBA版(2003年)での出荷本数が282万本※。
DS/3DS(ニンテンドーDSiウェア)版として、2011年に「ゼルダの伝説 4つの剣 25周年記念エディション」がリリースされていますが、その出荷本数(ダウンロード数)については出典が見当たりません。
「4つの剣」は1人ではプレイできないので、シリーズの中でも極めて特殊なのは間違いありません。
しかし、ゼルダシリーズの「時系図」を構成する「主要タイトル」の1つとなっている以上、こちらも将来のコンソール機でも遊べるようになることを願います。
※「神々のトライフォース&4つの剣」は、「神トラ・リメイク版」と「4つの剣」の2つのタイトルを1つのソフトにパッケージしたものであるため、本記事では「『神トラ』としての出荷本数」と「『4つの剣』としての出荷本数」のいずれも「282万本出荷された」ものとして扱っています。
(つまり、「282万本」を二重計上しています)
18位:ふしぎのぼうし
GBA版(2004年)での出荷本数が176万本。
3DS・VC版(2011年)とWiiU・VC版(2014年)が2023年3月28日で販売サービス終了となりました。
しかし、2023年2月9日からNSOにてGB/GBAタイトルの配信がスタートし、現在はNSO版を遊ぶことができます。
19位:トライフォース3銃士
3DS版(2015年)での出荷本数が136万本。
100万本越えソフトとはいえ、「主要タイトル」としてはやはり寂しい数字です。
「携帯コンソールのゼルダ」については、ゼルダシリーズの「主要タイトル」や「本編」としては見ていない人も多いのかもしれません。
「トライフォース3銃士」も現時点で移植版やリメイク版が存在しておらず、将来のコンソール機で遊べるようになることを願います。
20位:4つの剣+
GC版(2004年)での出荷本数が54万本(2004~2005年の推計値)。
「4つの剣+」は、現時点で移植版やリメイク版が存在しておらず、かつ、出荷本数も「主要タイトル」の中で唯一100万本を超えていないようで、「CESA統計」にも一切数字が出てきません。
そのため、以下の考え方で2004年1月1日から2005年12月31日までの2年分の推計値を算出しています。
- 任天堂の「2004年3月期・決算説明会資料」1頁の「シリーズソフト累計販売実績」のうち、「ゼルダの伝説シリーズ 据置型ゲーム機計(7タイトル) 30百万本」を 2003年12月31日までの据置機向けゼルダ7タイトルの世界累計出荷本数が3,000万本(①) という意味とみなす。
- 任天堂の「2006年3月期・決算説明会資料」1頁の「シリーズソフト販売実績累計」のうち、「ゼルダの伝説シリーズ 据置型ゲーム機計(7タイトル) 3155万本」を 2005年12月31日までの据置機向けゼルダ7タイトルの世界累計出荷本数が3,155万本(②) という意味とみなす。
※①②ともに集計の基準時を「3か月前の時点(前年の12月31日)とみなす」としているのは、「CESA統計」の集計期間(1月1日から12月31日)に合わせるためです。
正確性には欠けますが、他に公表されている適切な数値が見当たらないため上記の扱いとしています。 - 3,000万本(①)と3,155万本(②)の差分155万本(③)を 2004年1月1日から2005年12月31日までの「風のタクトGC版」と「4つの剣+」の世界累計出荷本数の合計 とみなす。
なぜなら、「風のタクトGC版」より前の「据置機向けゼルダ」は「ムジュラの仮面N64版」(2000年4月発売)以前まで遡ることになるが、2004年以降の「N64以前の据置機向けゼルダの新規出荷」というのは、あったとしても無視できるくらい小さいと考えられるため。 - 「2004CESAゲーム白書(2004年7月)」200頁によると、2003年12月31日までの「風のタクトGC版」の世界累計出荷本数は325万本(④)。
- 「2006CESAゲーム白書(2006年7月)」192頁によると、2005年12月31日までの「風のタクトGC版」の世界累計出荷本数は426万本(⑤)。
- 325万本(④)と426万本(⑤)の差分101万本(⑥)を 2004年1月1日から2005年12月31日までの「風のタクトGC版」の世界累計出荷本数 とみなす。
- 155万本(③)と101万本(⑥)の差分54万本を 2004年1月1日から2005年12月31日までの「4つの剣+」の世界累計出荷本数 と推定する。
注記
図表タイプ
ランキング表
基準日
ブレワイ、ティアキン、知恵かりは2024年12月31日時点
その他は2022年12月31日時点
情報源
◆任天堂HP:決算資料(IRライブラリー)、主要タイトル販売実績
◆2021 CESAゲーム白書、2023 CESAゲーム白書
(なお、「CESAゲーム白書」は完全リニューアルされ、2024年度から「CESAゲーム産業レポート」として刊行)
コンソール機の略記一覧
G&W:GAME & WATCH
FC:ファミリーコンピュータ
FCD:ファミリーコンピュータ ディスクシステム
GB:ゲームボーイ
SFC:スーパーファミコン
N64:NINTENDO64
GBC:ゲームボーイカラー
GBA:ゲームボーイアドバンス
GC:ニンテンドーゲームキューブ
DS:ニンテンドーDS
3DS:ニンテンドー3DS
VC:バーチャルコンソール
NS:Nintendo Switch
NSO:Nintendo Switch Online
ミニFC:ニンテンドークラシックミニ・ファミリーコンピュータ
ミニSFC:ニンテンドークラシックミニ・スーパーファミコン
その他
あくまで当ブログが、一般に公開されている情報を集めて「出荷本数データ」として集計しているにすぎません。
日本国内で販売され、流通したすべてのゲームタイトルを網羅しているわけではない点につき、ご了承ください。
なので、もし上記の「情報源」以外に一般的に閲覧できる良い時系列データがあれば、ぜひコメントなどで教えてほしいです。
以上
参考記事
当ブログでの「ゼルダ主要タイトル」についてはこの記事を参照ください。
一口にゼルダシリーズと言っても「どれくらいの作品数で、『今』常識的な予算・方法で遊べるタイトルはどれか?」といった辺りを整理しました。
ゼルダシリーズの記事を作成したり、収集した情報を整理・考察したりする際に、シリーズ主要タイトルの発売時期とそれらに関連する出来事を時系列で把握したいと感じることが多いので、年表の形でまとめました。