G&W:GAME & WATCH
FC:ファミリーコンピュータ
FCD:ファミリーコンピュータ ディスクシステム
GB:ゲームボーイ
SFC:スーパーファミコン
N64:NINTENDO64
GBC:ゲームボーイカラー
GBA:ゲームボーイアドバンス
GC:ニンテンドーゲームキューブ
DS:ニンテンドーDS
3DS:ニンテンドー3DS
VC:バーチャルコンソール
NS:Nintendo Switch
NSO:Nintendo Switch Online
ミニFC:ニンテンドークラシックミニ・ファミリーコンピュータ
ミニSFC:ニンテンドークラシックミニ・スーパーファミコン
1 はじめに
本記事はゼルダシリーズ主要19タイトルの出荷本数をまとめたものです。
「ゼルダ」は非常に人気のあるタイトルですから、ゼルダシリーズの売上本数をまとめた記事や動画は珍しくありません。
しかし、出荷本数の計算根拠や出典が不明確なことが多く、個人的には物足りなさを感じることが多かったんですよね。
例えば、上記の早見表でもまとめた通り、ゼルダシリーズは移植やリメイク版も多く、中には無視できないほど大きな販売数を記録しているものもあります。
それにもかかわらず、以下のような視点が不明確だったり、出典が明示されていなかったりすることが多いと感じます。
- 「オリジナル版」と「移植・リメイク版」を合算するのか?しないのか?
- 合算しないのであれば、その理由は?
例えば、「夢をみる島」の「オリジナル版(GB版)」(383万本)だけをカウントして、200万本以上売れたGBC版や600万本以上売れたNS版を除外する理由(目的)は何か?
私は主要タイトル別の人気度や影響度を知りたいので、本記事では できる限り移植版やリメイク版も独立して集計・合算した出荷本数 を算出しています。
主な出典は以下のものです。
・任天堂の決算資料
・任天堂ホームページ(主要タイトル販売実績)
・2023年までの「CESAゲーム白書」(以下「CESA統計」)
(なお、「CESAゲーム白書」は完全リニューアルされ、2024年度から「CESAゲーム産業レポート」として刊行予定)
「CESA統計」の調査方法は、CESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)による統一フォーマットの質問票(アンケート)に対し、ゲームメーカー各社が自主的に回答する、という方式です。
ある製品の正確な出荷数を把握できるのは「その製品を作っているメーカー自身」ですし、(業種は異なれど)メーカーに勤めていた自分の経験からしても、社外への「会社回答」を作成するにあたり「全く根拠がない」とか「いい加減で説明がつかない」数字を使用することはまずありません。
そのため、「CESA統計」は「出荷本数の実績値」として信頼度が高いと考えています。
なお、任天堂の公表資料でも、「CESA統計」でも、すべての「オリジナル版」と「移植・リメイク版」の数字を掲載しているわけではありません。
(たとえば、「CESA統計」は「ミリオンタイトル」に限定されるので、出荷本数100万本未満のタイトルは掲載されていません)
そのため、一部、私個人の考えに基づく推計値を「出荷本数とみなす」ケースがありますが、その場合の「推計」の考え方や計算方法は後述の「3注記」で記載しています。
2 ランキング表
以下の表は歴代出荷本数(全世界ベース)の多い順(ランキング表)です。
基準日は、
・ブレワイ、ティアキン、知恵かりは2024年9月30日時点
・その他は2022年12月31日時点
です。
順位 | タイトル名 | 出荷本数(単位:万本) |
---|---|---|
1 | ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド / Breath of the Wild | 3,399 |
2 | ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム / Tears of the Kingdom | 2,104 |
3 | ゼルダの伝説 時のオカリナ / Ocarina of Time | 1,404 |
4 | ゼルダの伝説 夢をみる島 / Link’s Awakening | 1,251 |
5 | ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス / Twilight Princess | 986 |
6 | ゼルダの伝説 スカイウォードソード / Skyward Sword | 782 |
7 | ゼルダの伝説 神々のトライフォース / A Link to the Past | 743 |
8 | ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 / Majora’s Mask | 679 |
8 | ゼルダの伝説 風のタクト / The Wind Waker | 679 |
10 | ゼルダの伝説 ※the First Zelda | 651 |
11 | ゼルダの伝説 夢幻の砂時計 / Phantom Hourglass | 476 |
12 | リンクの冒険 / The Adventure of Link | 438 |
13 | ゼルダの伝説 神々のトライフォース2 / A Link Between Worlds | 426 |
14 | ゼルダの伝説 ふしぎの木の実 大地の章・時空の章 / Oracle of Ages/Seasons | 399 |
15 | ゼルダの伝説 大地の汽笛 / Spirit Tracks | 296 |
16 | ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣 / A Link to the Past & Four Swords | 282 |
17 | ゼルダの伝説 知恵のかりもの / Echoes of Wisdom | 258 |
18 | ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし / The Minish Cap | 176 |
19 | ゼルダの伝説 トライフォース3銃士 / Tri Force Heroes | 136 |
20 | ゼルダの伝説 4つの剣+ / Four Swords Adventures | 54 |
動くグラフの詳細は下記の記事を参照ください。
3 注記
本記事で特に記載のない限り、下記でコンソール別出荷本数として挙げた数字は「2023CESAゲーム白書」(2023年7月)に基づく数字です。
(基準日:2022年12月31日)
任天堂ホームページ主要タイトル販売実績によると、2024年9月末時点でのNS版(2017年)の販売実績は3,229万本。
CESAゲーム白書(2023)によると、WiiU版(2017年)は170万本。
任天堂ホームページ主要タイトル販売実績によると、2024年9月末時点でのNS版(2023年)の販売実績は2,104万本。
N64版(1998年)は760万本。
3DS版「時のオカリナ3D」(2011年)は644万本。
GB版(1993年)は383万本。
GBC版「夢をみる島DX」(1998年)は222万本。
NS版(2019年)は646万本。
GC版(2006年)は143万本。
Wii版(2006年)は726万本。
WiiU版「トワイライトプリンセスHD」(2016年)は117万本。
Wii版(2011年)は367万本。
WiiU版(2016年)もありますが、こちらは全世界ベースでも100万本に届かなかったようで「CESA統計」には数字が出てきません。
NS版(2021年)は415万本。
SFC版(1991年)は461万本。
GBA版「神々のトライフォース&4つの剣」(2003年)は282万本※。
※「神々のトライフォース&4つの剣」は、「神トラ・リメイク版」と「4つの剣」の2つのタイトルを1つのソフトにパッケージしたものであるため、本記事では「『神トラ』としての出荷本数」と「『4つの剣』としての出荷本数」のいずれも「282万本出荷された」ものとして扱っています。
(つまり、「282万本」を二重計上しています)
N64版(2000年)は336万本。
3DS版「ムジュラの仮面3D」(2015年)は343万本。
GC版(2002年)は443万本。
WiiU版「風のタクトHD」(2013年)は236万本。
651万本は、FCD版(1986年、日本)とROMカセット版(1987年、欧米)のみの合算値と思われます。
一方で、「初代ゼルダ」は、GBA版(ファミコンミニ)、各種VC版、ミニFC版、NSO版、G&W版など、移植版のバリエーションが最多で、影響度合いは 出荷本数1,000万本クラスを優に超える と言っても過言ではないでしょう。
「夢幻の砂時計」(DS版、2007年)は、移植版やリメイク版がない中で堂々の476万本。
WiiU・VC版(2016年)もリリースされましたが、2023年3月28日で販売サービスが終了しました。
ゼルダシリーズに限らず、DSソフトは「2画面&タッチペン操作」が前提となるため移植が難しい部分もあるかもしれませんが、買い切り型のVCスタイルにせよ、サブスク型のNSOスタイルにせよ、何とか将来のコンソール機でも遊べるようになることを願います。
438万本は、「初代ゼルダ」と同じく、FCD版(1987年、日本)とROMカセット版(1988年、北米)の合算値と思われます。
また、「リンクの冒険」もGBA版(ファミコンミニ)、各種VC版、ミニFC版、NSO版、G&W版など移植版のバリエーションが多いので、「初代ゼルダ」ほどではないにせよ、その影響度合いはシリーズ屈指と言えるかもしれません。
一方で、「シリーズ唯一の横スクロール(ベルトスクロール)アクション」「難易度が高い」という尖った存在でもあるため、「とっつきにくい」「どちらかというとマイナー」という印象を持つ人も多いかもしれません。
「神トラ2」(3DS版、2013年)も、移植版やリメイク版がない中で426万本は立派な数字です。
SFC版「神トラ」は「2D(見下ろし型、トップビュー)ゼルダのお手本・見本」とも言える存在ですが、この「神トラ2」は名前の通り「神トラ」の世界観やゲームシステムを踏襲した作品となっており、ゼルダ初心者にとってもとっつきやすい名作です。
こちらも将来のコンソール機で遊べるようになることを願います。
「ふしぎの木の実」(GBA版、2001年)は、「大地の章」と「時空の章」の2つのタイトルに分けて同時発売されたソフトで、2つ合わせて399万本。
カプコンが中心となって開発された作品で、シリーズ初の「任天堂以外の会社が開発したゼルダ」としても有名です。
2023年7月27日から「ふしぎの木の実」(NSO版)の配信が開始されました。
DS版(2009年)での出荷本数が296万本。
決して小さい数字ではありませんが、前作の「夢幻の砂時計」(2007年)が476万本(10位)であることを考えると、ゼルダシリーズとしては少し寂しい数字でしょうか。
「夢幻の砂時計」と同じく、「大地の汽笛」も2016年に「WiiU・VC版」がリリースされましたが、2023年3月28日で販売サービスが終了しました。
こちらも将来のコンソール機でも遊べるようになることを願います。
GBA版(2003年)での出荷本数が282万本※。
DS/3DS(ニンテンドーDSiウェア)版として、2011年に「ゼルダの伝説 4つの剣 25周年記念エディション」がリリースされていますが、その出荷本数(ダウンロード数)については出典が見当たりません。
「4つの剣」は1人ではプレイできないので、シリーズの中でも極めて特殊なのは間違いありません。
しかし、ゼルダシリーズの「時系図」を構成する「主要タイトル」の1つとなっている以上、こちらも将来のコンソール機でも遊べるようになることを願います。
※「神々のトライフォース&4つの剣」は、「神トラ・リメイク版」と「4つの剣」の2つのタイトルを1つのソフトにパッケージしたものであるため、本記事では「『神トラ』としての出荷本数」と「『4つの剣』としての出荷本数」のいずれも「282万本出荷された」ものとして扱っています。
(つまり、「282万本」を二重計上しています)
任天堂ホームページ主要タイトル販売実績によると、2024年9月末時点でのNS版(2024年)の販売実績は258万本。
GBA版(2004年)での出荷本数が176万本。
3DS・VC版(2011年)とWiiU・VC版(2014年)が2023年3月28日で販売サービス終了となりました。
しかし、2023年2月9日からNSOにてGB/GBAタイトルの配信がスタートし、現在はNSO版を遊ぶことができます。
3DS版(2015年)での出荷本数が136万本。
100万本越えソフトとはいえ、「主要タイトル」としてはやはり寂しい数字です。
「携帯コンソールのゼルダ」については、ゼルダシリーズの「主要タイトル」や「本編」としては見ていない人も多いのかもしれません。
「トライフォース3銃士」も現時点で移植版やリメイク版が存在しておらず、将来のコンソール機で遊べるようになることを願います。
GC版(2004年)での出荷本数が54万本(2004~2005年の推計値)。
「4つの剣+」は、現時点で移植版やリメイク版が存在しておらず、かつ、出荷本数も「主要タイトル」の中で唯一100万本を超えていないようで、「CESA統計」にも一切数字が出てきません。
そのため、以下の考え方で2004年1月1日から2005年12月31日までの2年分の推計値を算出しています。
- 任天堂の「2004年3月期・決算説明会資料」1頁の「シリーズソフト累計販売実績」のうち、「ゼルダの伝説シリーズ 据置型ゲーム機計(7タイトル) 30百万本」を 2003年12月31日までの据置機向けゼルダ7タイトルの世界累計出荷本数が3,000万本(①) という意味とみなす。
- 任天堂の「2006年3月期・決算説明会資料」1頁の「シリーズソフト販売実績累計」のうち、「ゼルダの伝説シリーズ 据置型ゲーム機計(7タイトル) 3155万本」を 2005年12月31日までの据置機向けゼルダ7タイトルの世界累計出荷本数が3,155万本(②) という意味とみなす。
※①②ともに集計の基準時を「3か月前の時点(前年の12月31日)とみなす」としているのは、「CESA統計」の集計期間(1月1日から12月31日)に合わせるためです。
正確性には欠けますが、他に公表されている適切な数値が見当たらないため上記の扱いとしています。 - 3,000万本(①)と3,155万本(②)の差分155万本(③)を 2004年1月1日から2005年12月31日までの「風のタクトGC版」と「4つの剣+」の世界累計出荷本数の合計 とみなす。
なぜなら、「風のタクトGC版」より前の「据置機向けゼルダ」は「ムジュラの仮面N64版」(2000年4月発売)以前まで遡ることになるが、2004年以降の「N64以前の据置機向けゼルダの新規出荷」というのは、あったとしても無視できるくらい小さいと考えられるため。 - 「2004CESAゲーム白書(2004年7月)」200頁によると、2003年12月31日までの「風のタクトGC版」の世界累計出荷本数は325万本(④)。
- 「2006CESAゲーム白書(2006年7月)」192頁によると、2005年12月31日までの「風のタクトGC版」の世界累計出荷本数は426万本(⑤)。
- 325万本(④)と426万本(⑤)の差分101万本(⑥)を 2004年1月1日から2005年12月31日までの「風のタクトGC版」の世界累計出荷本数 とみなす。
- 155万本(③)と101万本(⑥)の差分54万本を 2004年1月1日から2005年12月31日までの「4つの剣+」の世界累計出荷本数 と推定する。
4 最後に
「ランキング表」を振り返ると、ブレワイ、ティアキン、時オカ、夢をみる島 は別格ですね。
言うまでもなく「ブレワイ」と「時オカ」はいずれもゲーム史に永久に残る傑作でしょう。
また、「夢をみる島」も、今や「神トラ」を凌いで「2Dゼルダのお手本・教科書」というべきタイトルかもしれません。
最新の ティアキン の評価が固まるのはもう少し時間が経ってからでしょうか。
とはいえ、原点である 初代ゼルダ とシリーズの確固たる土台を築いた 神トラ の影響力は数字だけでは到底計り知れませんし、その存在感や影響力はもはや殿堂入りクラスでしょう。
現時点ではランキング下位のタイトルでも、将来リメイク版などがリリースされれば一気に上位に食い込んで来る作品もあるはずなので、今後も定期的にチェックしていきたいと思います。
本記事がゼルダファンの皆様のご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
以上