2000年代初頭に「ゲーム人口増大」という目標をかかげてまかれた変革の種は、DSとWiiで芽吹き、3DSとWii Uでの厳しい環境に負けることなく成長を続け、ついに見事な大輪の花を咲かせました。
図表
【Nintendo Switch】国内上位5タイトルの出荷本数推移(バーチャートレース形式、1分08秒)
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読解
さて、今なお現役バリバリの Nintendo Switch。
後継機(Nintendo Switch 2)の発売が年内に控えているとはいえ、現行機である以上 ソフトも売上げもまだまだ積みあがっていくので、バーチャートレースを作成するか迷いました。
しかし、もうすぐ8年目に突入するタイミングで時間も十分に経過したと思いますし、暫定版でも振り返ってみる価値はあるかなと。
それでは行ってみましょう。
まず、ローンチタイトルの1つ
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(2017年3月)
が堅調なスタートをダッシュを決め、これ以降、ブレワイがゼルダシリーズ始まって以来の記録的な売上げをたたき出すのは周知のとおり。
売れ方はいわゆる “定番ソフトとしてのジワ売れ” なので、わりと早めにランキング外に落ちてしまいますが、発売以来コンスタントに販売数を積み上げています(2024年3月末時点で387万本)。
根強いファンがいるゼルダシリーズとはいえ、現行ゲーム機のローンチタイトルとして一番最初に発売され、かつ定番ソフトとしてそのまま最後まで売れ続けるなんて現象は、過去のゼルダシリーズではちょっと見なかったですからね。
ブレワイがゼルダシリーズの殻を破った歴史的タイトルであることは間違いありません。
ブレワイの翌月に発売され、こちらも スイッチのド定番となった
マリオカート8 デラックス(2017年4月)
Wii U でイマイチ振るわなかったマリオカート8(2014年5月、143万本)の移植・ブラッシュアップ版ではありますが、2024年3月末時点で811万本という驚異的な国内セールスを記録。
全世界ベースで見てもスイッチにデフォルトで同梱されているんじゃないか、というくらい売れています。
「前作の不振はただの偶然・不運でしかなかった」ということを見事に証明し、いつの時代も、世界のどこでも、常に売れ続ける “マリオカート” の実力をこれでもかと見せつけています。
(全世界ベースのBCRシリーズも現在データをまとめているところなので、近いうちに記事にするつもりです)
そしてスイッチ初期で、日本国内で爆発的にヒットした新規タイトルといえば、なんと言っても
Splatoon 2(2017年7月) でしょう。
前作の初代 Splatoon(2015年5月、179万本)の時点で大物の片鱗を見せていた気はしますが、いかんせん Wii U が低調だったため大ヒットには至らず。
しかし、Splatoon 2 は、みんなすでに大物の片鱗を嗅ぎ分けていたのか、それともSNS全盛の時代を反映した “口コミ” 効果によるものなのか、発売直後からあっという間に初代の売上を超え、爆発的なヒットととなります(2022年12月時点で526万本)。
その後、
スーパーマリオ オデッセイ(2017年10月)
星のカービィ スターアライズ(2018年3月)
太鼓の達人 Nintendo Switchば~じょん!(2018年7月)
ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ(2018年11月)
と人気シリーズの最新作が順調にランクインし、いよいよ登場したのが
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(2018年12月、2024年12月時点で756万本)
もう押しも押されぬというか、言わずもがなというか、ここまで来ると参戦ファイターやコラボタイトルの数からして巨大コンテンツになりすぎて「次回作はやれんのか?頼むぞ任天堂&サクラーイ!」と誰もが多かれ少なかれ心配しつつ、みんなお祭り騒ぎで遊んでいるタイトル、という感じですね。
個人的には、新規ファイターの参戦動画が上がるたびに、世界中の子どもからおじさんの一喜一憂する姿を YouTube で見られるのが印象的でした。
また、ポケモンが強いのも相変わらずです。
ポケットモンスター ソード・シールド(2019年11月、2022年12月時点で595万本)
ポケットモンスター スカーレット・バイオレット(2022年11月、2024年3月時点で819万本)
もはや多くを語るまい。
日本人、ポケモン好きすぎる。
そして、今後数十年のレベルで語り継がれていくであろう売上げを記録し、日本のゲーム史における新たな金字塔を打ち立てたのが
あつまれ どうぶつの森(2020年3月)
初代どうぶつの森(N64、2001年4月)以来、長い歴史をもつ人気シリーズの最新作が、コロナ禍により世界中で同時多発的に起こった外出制限、すなわち、突発的かつ世界的に発生した巣ごもり需要と同じタイミングで発売されました。
もともと、
- 現実世界の時間とリンクし、
- ちょっと信じられないくらいの物量のアイテムが用意されたゲーム世界で、
- 個性豊かなNPCや他プレーヤーとの日常的な交流がメインの内容であり、
- 特に複雑な操作も必要なく短時間のプレイでも楽しめる、
というゲーム性で根強い人気がありましたが、このような “穏やかなゲーム性” が当時の外出制限でストレスフルだった現実世界において、一種の救いみたいになったところもあったのでしょう。
その結果、日本国内の売上げは2024年3月末時点で1,130万本。
大人も子どもも含めて、日本人の10人に1人があつ森を買っています。
発売から4か月後の2020年6月(2020年度第一四半期)時点で715万本のセールスを記録し、当時は「およそ35年ぶりに スーパーマリオブラザーズ(FC、1985年9月、681万本) の国内記録を更新した」と話題になりましたが、もはやそんなレベルではありません。
日本人、どうぶつの森も好きすぎる。
そして、国内売上げ500万本越えばかりのバケモノ上位陣に、後発タイトルながら食い込んできたのが
Splatoon 3(2022年9月、2024年3月時点で709万本)
Splatoon シリーズは3作目で早々にスーパーマリオ越えを果たし、あっという間に任天堂の看板タイトルの仲間入りを果たしましたね。
後継機でもこの勢いを維持できるのか、今後も注目したいと思います。
なお、2024年3月時点で、スーパーマリオブラザーズ(FC、1985年9月)の国内売上記録681万本を越えたタイトルは以下の通りです。
- あつまれ どうぶつの森(2020年3月):1,130万本
- ポケットモンスター スカーレット・バイオレット(2022年11月):819万本
- マリオカート8 デラックス(2017年4月):811万本
- 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(2018年12月):756万本
- Splatoon 3(2022年9月):709万本
改めて見ると圧巻ですね・・・。
その昔、任天堂の社長に就任した岩田さんが、「ゲーム人口増大」という目標をかかげて変革の種をまき、それがDSとWiiで芽吹き、そのまま3DSとWii U での厳しい環境に負けることなく成長を続け、ついにNintendo Switch で見事に花開いたのだなあ、と感じました。
補完情報
注記
図表形式
バーチャートレース(Bar Chart Race、BCR)
期間
2017年3月から2024年3月まで
情報源
◆任天堂タイトル:決算資料(IRライブラリー)、主要タイトル販売実績
◆スクエニタイトル:決算資料(IRライブラリー)
◆カプコンタイトル:決算資料(IR資料室)、ミリオンセールスタイトル
◆その他タイトル:2021 CESAゲーム白書、2023 CESAゲーム白書
(なお、「CESAゲーム白書」は完全リニューアルされ、2024年度から「CESAゲーム産業レポート」として刊行)
略称一覧
ブレワイ:ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
マリカ8DX:マリオカート8 デラックス
スーマリO:スーパーマリオ オデッセイ
カービィSA:星のカービィ スターアライズ
太鼓の達人:太鼓の達人 Nintendo Switchば~じょん!
ポケモンLG:ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ
スマブラSP:大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
ポケモンS/S:ポケットモンスター ソード・シールド
あつ森:あつまれ どうぶつの森
ポケモンS/V:ポケットモンスター スカーレット・バイオレット
その他
あくまで当ブログが、一般に公開されている情報を集めて「出荷本数データ」として集計しているにすぎません。
日本国内で販売され、流通したすべてのゲームタイトルを網羅しているわけではない点につき、ご了承ください。
なので、もし上記の「(4)情報源」以外に一般的に閲覧できる良い時系列データがあれば、ぜひコメントなどで教えてほしいです。
また、各タイトルごとの月間の売上本数も、そのすべてを第三者が正確に把握することは不可能なので、当ブログが考える「ゲームソフトの売れ行きに関する一定の基準」で調整しているデータが多数含まれます。
あくまで「売上レースっぽい雰囲気を楽しむもの」とご理解いただければと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。