ゆうめいなゼルダの GAME & WATCH

1989年8月に海外で発売された”GAME & WATCH ZELDA”(「ゲームボーイギャラリー4」の隠し要素として遊べる)についてまとめました。

1 はじめに

ニンテンドー3DSシリーズおよびWii Uの「ニンテンドーeショップ」サービス終了(2023年3月28日)により、現在は遊ぶこと自体が困難となっている”GAME & WATCH ZELDA”。
(G&W実機以外では「ゲームボーイギャラリー4」の隠し要素として遊べる)

ゼルダシリーズの派生作品ではありますが、ゼルダファンの私としては2023年3月以降に遊べなくなるタイトルがあったら困るので、eショップサービス終了前に「ゲームボーイギャラリー4」を購入しました。

ということで、今回、GAME & WATCH ZELDAを取り上げてみたいと思います。
この記事がゼルダシリーズに興味がある方の参考になれば幸いです。

ゼルダシリーズ早見表

2 概要

タイトルZELDA
発売日1989年8月(日本未発売)
コンソールGAME & WATCH
移植・復刻状況【ゲームボーイアドバンス(GBA)版】(日本未発売)
発売日:2002年
米では「GAME&WATCH GALLERY4」として、欧・豪では「GAME&WATCH GALLERY ADVANCE」として発売されたソフト(任天堂初の携帯型液晶ゲーム機「ゲーム&ウオッチ」のタイトルを集めたシリーズの4作目)の中で、隠し要素としてGBA版「ZELDA」を遊べる。
なお、当該ソフトは日本でも「ゲームボーイギャラリー4」として発売予定はあったが、この当時は発売中止となった。

【Wii Uバーチャルコンソール(Wii U VC)版】
配信開始日:2016年3月16日(2023年3月28日でサービス終了)

2002年当時は日本では発売中止となった上記の「ゲームボーイギャラリー4」が、Wii U VC専用ソフトとして配信開始となり、日本国内向けのGBA版「ZELDA」を遊べるようになった。
なお、「ゲームボーイギャラリー4」のダウンロード価格は715円(税込み)
また、上述の経緯により、日本国内向け「ゲームボーイギャラリー4」のゲームカートリッジは存在していないため「日本国内向けGBA版『ZELDA』」はWii U VC版でしか遊べない。

3 遊ぶ方法

(1)必要アイテム

「GAME & WATCH ZELDA」いま遊ぶために必要なアイテムとしては、大きく分けて以下の2つが考えられます。

  • ① 「GAEM & WATCH ZELDA」の実機の入手
  • ② GBA実機および、「GAME&WATCH GALLERY4」(米GBA版現物)か「GAME&WATCH GALLERY ADVANCE」(欧・豪GBA版現物)の入手

①について
「日本国外で発売された30年以上前のゲームウォッチ実機で、かつ現在でも動く(遊べる)ほど状態の良いモノ」となると、コストや労力の点で入手難易度はかなり上がると思われます。
実機現物に対し、歴史的な価値や「ゼルダファンとしてのコレクション価値」といった「ゲームを楽しむ価値」以上のモノを見出さない限り、手を出しにくいのが正直なところです。

②について
米・欧・豪でのGBA中古ソフト市場がどんな状況なのか分かりませんが、①に比べればまだ現実的な手段かも知れません。
2023年3月下旬以降は、この②が「GAME & WATCH ZELDA」を遊ぶための有力な手段になると思われますが、日本人にとってはそれなりにハードルが高そうです。

【参考】
「ゲームボーイギャラリー4」(WiiU VC版)をダウンロード済みの中古WiiUを探すという手段も理論上は考えられます。
しかし、現実問題としてそのような中古WiiUが出回るか?、出回ったとしてリーズナブルな価格で入手可能か?ということが想定され、ちょっと現実味がないかなと思います。

(2)その他の準備作業

「ゲームボーイギャラリー4」の場合、「GAME & WATCH ZELDA」は隠し要素となっているので最初から遊べるわけではありません。

上記画像は「ゲームボーイギャラリー4」のタイトル画面。

「ゲームボーイギャラリー4」は、昔の「ゲーム&ウオッチ」のタイトルをベースに、
◆グラフィックやゲーム内容を新たにアレンジした「いま」モード(いわば「リメイク版」)、
◆懐かしいオリジナルの「むかし」モード
を収録した「ゲーム&ウオッチ集」です。

そして、各タイトルごとの「いま」と「むかし」モードに加え、
◆「やさしい/むずかしい」or「1P(一人用)/2P(対戦用)
といった細かいモードまで用意されており、各モードごとに一定のハイスコアを更新するとスターを貰えます。
Wii U VC版は、あくまで「GBA版の通信機能・拡張機能を除いてWii U上で再現した」一人用のソフトなので、実際には「2P(対戦用)」モードは遊べない。

このスターを一定数集めるたびに様々な隠し要素がアンロック(解放)されていくのですが、隠し要素の中でも「GAME & WATCH ZELDA」は一番最後の要素となっており、スターを160個集めてようやくアンロックされます。

上記画像は「ZELDA」アンロック時の画面。

この「スター160個集め」が結構長い道のりです。

Wii Uバーチャルコンソールの「まるごと保存」機能を使えば、各ゲームでのハイスコアの更新自体はそれほど難しくはありません。
(私は「まるごと保存」機能を使いまくりました)

ただ、1つのモードで獲得できるスターは、200点ごとに1個、最大で5個まで(=1000点以上はいくらハイスコアを更新してもスターなし)となっていて、どのゲームのどのモードでも1000点取るまで大体30分~1時間程度かかりました。
そのため、あくまで私の場合ですが、スターを160個獲得するまで20時間程度かかりました。
1~2日で「ZELDA」まで解放するのはちょっと大変な分量なので、1~2週間くらいかけてノンビリやるのが良いと思います。

ゲームウォッチについて、私自身は「触ったことがある」という程度の記憶で、当時は年齢が低すぎて上手く遊べなかったことが多かったのですが、本ソフトの収録ゲームについては、「ゲームウォッチで遊んだ懐かしさを感じつつも、ゲーム内容は初見」という感覚で意外と楽しめました。
(そうは言っても昔の「ゲームウォッチ」がベースなので、全体的に内容が単調なのは否めず、人によっては「単調な作業ゲー」と感じる場合もあるかもしれません)

4 「GAME & WATCH ZELDA」の楽しみ方

以下、Wii U VC版ゲームボーイギャラリー4の「GAME & WATCH ZELDA」が前提となります。

(1)ストーリー

「GAME & WATCH ZELDA」の説明書の画像。
リンクはちゃんと「左利き」ですね。

(筆者訳)
8匹の凶悪なドラゴンによって引き起こされた大災害は、日に日に拡大していた。ドラゴンたちは人類と平和に共存することを拒み、世界を支配するため人類に戦いを仕掛けてきた。そしていま、あなたの愛するゼルダ姫が悪のドラゴンにさらわれ、あなたはドラゴンを打ち倒すことを決意した。

何だろう。脈絡があるような、ないような。。。

とりあえず、「ドラゴンは悪者で人類とも敵対している」が、戦う直接の理由は「俺のオンナに手を出しやがって、ぶっ飛ばしてやる!」ということのようです。

それと、挿絵の主人公は明らかに「リンク」ですが、文章の表現上は「主人公」=「あなた」(プレーヤー)という書き方ですね。

(2)見どころ

「ZELDA」を含む「ゲームボーイギャラリー4」の隠し要素である「ゲームウォッチタイトル」は9つあるのですが、いずれもオリジナルの「むかし」モードしかありません。

上記画像は「ZELDA」の操作説明画面。隠し要素である「ZELDA」には「むかし」モードしかない。
上記画像は実際のゲーム画面。
・画面中央が「リンク」
・画面右側にいるのがその部屋のボスである「ゴブリン」(画像右下の「28」はゴブリンの残り体力)
・画面下にいるのが「スタルフォス」(床下から剣を突き上げてくる)
・画面左側にいるのが「ゴースト」(リンクの背面から矢で攻撃してくる)

要するに、あくまで「ゲームウォッチ」でしかないので、「ゼルダシリーズ」として見た場合、ゲーム内容はかなりシンプルで、分量も多いとは言えません(8ステージのみ)。

しかし、「GAME & WATCH ZELDA」が発売された1989年8月頃は、「ゲームウォッチ」発売から9年目・「ファミコン」発売から6年目が経過し、その数か月前(1989年4月)には「ゲームボーイ」が発売されたというタイミングで、任天堂にはゲーム制作のノウハウがかなり溜まってきていたのでしょう。

このゲームをあくまで「ゲームウォッチ」として見た場合、「かなり作り込んでる」と感じました。
しかも、「ゲームウォッチで、よくここまで『ゼルダらしさ』を再現できたなあ」と少し感動しました。

私が感じた「ゼルダらしさ」は大きく分けて、①アイテム、②ダンジョン構造の2点です。

①アイテムについて

上記画像はゲーム内のヒント画面。

「GAME & WATCH ZELDA」では、アイテムとして「WATER OF LIFE(命の水)」、「MAP(ちず)」、「TOMAHAWK(トマホーク)」、「HEART(ハート)」の4つが登場します。
そもそも「ゲームウォッチ」って、「移動する(避ける)」と「アクション1~2種類」くらいの操作方法しかなく、難易度調整も「敵の数が増える」と「テンポアップ」くらいしかないのが普通です。
それが「GAME & WATCH ZELDA」では、「敵を倒すなど一定の条件を満たすとアイテム(リワード)を入手」、「アイテムの中にはプレーヤーが任意のタイミングで使用できるものがある」など、ファミコンみたいな「ゲームらしさ」があるんですよね。
さらに、それらのアイテムを入手しなくてもクリアできるようになっており、「ゲームらしさ」から一歩進んで「ゼルダらしさ」を上手く再現しているなと思いました。

  • WATER OF LIFE(命の水)
    回復薬。
    「GAME & WATCH ZELDA」でもリンクの体力はハートで表現され、「WATER OF LIFE(命の水)」を持っていれば、下ボタンで好きなときにハートを回復できるし、ハートがゼロになった場合は自動的に使用されて回復します。
    もちろん入手しなくてもクリアできます。
    (当たらなければどうということはない)
  • MAP(ちず)
    ゼルダのダンジョンでお馴染みのマップです。
    入手するとダンジョンの全体構造が判明しますが、入手しなくてもクリアできます。
  • TOMAHAWK(トマホーク)
    対ドラゴン(ボス)用の武器で、所持していればドラゴン戦で自動的に装備し、通常武器の剣より威力が3倍増しになるようです。
    ただ、ドラゴン戦が終わると消滅し、次のダンジョンで使いたければ、ダンジョンを探索して再度入手する必要があります。
    ちなみに、なぜ投げ斧であるトマホークが「対ボス専用武器」になったのかはよく分かりませんでした。
    ゲームウォッチの「ドット」で「特別感」のある武器を表現するのに「斧」が適切だったという感じなんでしょうかね?
  • HEART(ハート)
    道中のゴブリンを倒すとたまに出現し、ハートが1個回復します。

②ダンジョン構造について

以下は、一番最初のダンジョン1の構造を示したものです。

下から3層目の部屋(マップアイコンの部屋)のゴブリンを倒すとMAPを入手し、ゲーム画面上でも上記のような全体構造が明かされる。なお、各部屋のアイコンは「その部屋のゴブリンを倒すと入手できるアイテム」を示しているが、実際のゲーム画面ではこのようなアイコンは表示されない。

一番下の「ハートマーク」の部屋からスタートするのですが、その部屋のゴブリンを倒すと、「ハート」をもらえるのと同時に、左上と右上へ続く「ルート(階段)」が2つ出てきます。
「ルート(階段)」は下から上への一方通行で、一度進むと下の階層には引き返せませんが、どのルートを進むにせよ、最終的にはドラゴンのいる最上層に到達するようになっています。

そして、見ておわかりの通り、下から2層目の「トマホーク(斧)の部屋」は、必ずしもこの部屋に寄る必要はなく、ドラゴンまでの最短ルートは「トマホーク(斧)の部屋」を無視して一直線にドラゴンに向かう左側ルートです。
なので、RTA(Real Time Attack、英語では”Speed Run”)なんかでは斧部屋を無視するのが当たり前になっていますね。

つまり、
◆一方は、「寄り道」という手間はかかるけど「対ボス戦用の強力な武器」というリワードが用意されているルート
◆もう一方は、ボス戦で有利なアイテムは取得できないけど最短でボス部屋にたどり着けるルート
という構造になっており、「プレーヤの選択次第でゲームバランスが変わる」とか、「プレーヤーの意思で攻略法を選択できる」といった、「プレーヤーの選択・行動に対するゲームからの応答」という双方向のゲーム性がちゃんと備わっているんですよね。

これは一番最初のダンジョンなので構造はだいぶシンプルですが、ゲームが進むにつれてそれなりに複雑な構造のダンジョンになってルート数も増えますし、ルート次第で通過する部屋の数にも結構な差が出てきます。
アイテム類を取得しなくてもクリア可能というのと相まって、ダンジョン構造自体が見た目以上に複雑なゲーム性を生み出すのに寄与しているので、この点もゼルダっぽいなと私は感じました。

5 まとめ

上記以外の「ゼルダらしさ」としては、体力が満タン(ハート5個)のときは剣からビームが出る、8体目のドラゴンを倒すとゼルダ姫を救出する演出(エンディング)がある、2周目は敵の動きが早くなる(裏ゼルダ)といった要素まで盛り込まれています。

「GAME & WATCH ZELDA」が発売された当時は、ファミコン時代の後期に差し掛かり、すでにゲームボーイも登場していたので、ゲームウォッチなんて正直「過去のおもちゃ」という感じだったと思います。
ディスクシステムで「初代ゼルダ」「リンクの冒険」をリリースした後で、なぜ「ゼルダ」をゲームウォッチで出したのか?、なぜ日本国内販売はなかったのか?などなど、個人的な興味は尽きないのですが、ゲーム内容自体は、「ゲームウォッチ」という「ハード上の制限」はあるものの任天堂の本気を感じられる良作だと思いました。

本記事がゼルダシリーズに興味がある方や、任天堂ファンの方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

以上

ゼルダシリーズ早見表

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