ニンテンドー3DS、Wii Uの国内出荷本数Top5についてバーチャートレースを作成しました。
DS/Wiiが作り出した「ゲーム人口増大」への流れを受けて投入された両機種。
しかし、その道のりには大きな困難が待ちかまえていました。
1 うごくグラフ(1分12秒)
【3DS/Wii U】国内上位5タイトルの出荷本数推移(バーチャートレース形式)
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停滞していた日本のゲーム業界に文字通りイノベーションを巻き起こした ニンテンドーDS と Wii 。
その後継機である ニンテンドー3DS と Wii U がどうなったのか見て行きましょう。
なお、いきなりネタバレみたいな感じですが、今回の「【3DS/Wii U】国内上位5タイトルの出荷本数推移」にWii Uタイトルは登場しません。
一応、元データには以下の4タイトルが含まれてはいるのですが、同時期の3DSタイトルの方が売れていたため今回のBCRではランキング外となっています。
- New スーパーマリオブラザーズ U(2012年12月8日、135万本)
- マリオカート8(2014年5月29日、143万本)
- Splatoon(2015年5月、179万本)
- スーパーマリオメーカー(2015年9月、108万本)
これはつまり、Wii Uの国内ミリオン越えは4タイトルしかないということで、国内ミリオン越えが14タイトルあったWiiと比べると大幅減と言わざるをえません。
前回見たとおり「Wii後期は、国内では目新しいヒット作が出なかった」ことを踏まえると、Wiiは間違いなく非ゲーマー層を取り込んで一大ブームを巻き起こしたが、Wii後期から後継機のWii Uにかけて、それらの新規ユーザーをゲームに定着させるまでには至らなかった、というのが正確なところでしょうか。
ただ、Wii Uが失敗だったのかという点については、この4タイトルがその後どういう成長を遂げたのかなど、もっと時間が経過した “後” から振り返ったときにどう見えるか?という視点も忘れてはならないでしょう。
(この記事では詳しく触れませんが)
では、今回のBCRのメインとなる3DSはどうだったか?
こちらも周知のとおり、出だしはまったく上手くいかなかった と言わざるをえません。
もちろん、3DS発売(2011年2月26日)の直後、東日本大震災(2011年3月11日)というまさに “未曽有の大災害” が日本を襲ったことは確実に影響していると思われます。
しかし、日本国外でも3DSの販売は芳しくなく、
- 発売から半年も経っていない2011年7月28日に希望小売価格を¥25,000から¥15,000へ1万円の値下げ
(任天堂ホームページ:ニュースリリース「ニンテンドー3DS値下げのご案内」) - 3DS発売後3年間の任天堂の業績も低迷
– 2011年度は上場以来初めての最終赤字
– 2012年度はギリギリ赤字を免れる
– 2013年度は再び最終赤字
という事態に陥ります。
ということで、3DSで最初にミリオン越えを果たしてランクインしたのは、3DS発売から8カ月以上あとに発売されたスーパーマリオ3Dランド(2011年11月)。
その後も、マリオカート7(2011年12月)、モンスターハンター3G(2011年12月)、New スーパーマリオブラザーズ2(2012年7月)と続きますが、いずれもDSタイトルに比べると勢いはイマイチ。
そんな中、とびだせ どうぶつの森(2012年11月)が400万本越えの大ヒットで3DS初期を支え、続いてモンスターハンター4(2013年9月)、ポケットモンスター X・Y(2013年9月)も立て続けに400万本越えのヒットを果たしたことで、ようやく初期の不振から脱出。
そして2014年度に入り、やってきたのが妖怪ウォッチブーム。
妖怪ウォッチ2 元祖/本家/真打(2014年7月)が610万本の特大ホームランをかまし、3DSでは日本国内で一番売れたソフトになりました。
いや~、この頃の妖怪ウォッチブームはすさまじかったですね!
少なくともゲームでは同時期のポケモンタイトルを完全に上回ってましたし、テレビやネットでも日本中の子供たちが妖怪ウォッチに熱中している話題であふれていたのを覚えています。
惜しむらくは、海外では日本国内ほどの勢いはなかったためか、コンテンツ制作やブランド管理に関してポケモンと同じような体制を築くまでには至らず、”一過性のブーム” という殻を破れなかったところでしょうか。
「ゲゲゲの鬼太郎」 もそうですが、妖怪ってなんだかんだ子供を惹きつける魅力があると思いますし、最近も「呪術廻戦」や「ダンダダン」といった日本特有の妖怪・妖異が大きな要素を占めるコンテンツが世界で大ヒットしているのを見ると、素人目には妖怪ウォッチも海外でもっと売れる道があったように感じてしまいます。
(たらればを言っても仕方ありませんが・・・)
そして2015年以降の3DS後期はランキングも安定し、ポケモン、モンハン、スマブラといった人気シリーズの続編が300万本前後の大ヒットで堅実にランクインし、波乱で始まった3DSも、最後は勢いを盛り返して有終の美を飾りました。
2 注記
(1)グラフ形式
バーチャートレース(Bar Chart Race、BCR)
(2)期間
2001年1月から2007年10月まで
(3)略称一覧
スーマリ3DL:スーパーマリオ3Dランド
マリカ7:マリオカート7
モンハン3G:モンスターハンター3G
Nスーマリ2:New スーパーマリオブラザーズ2
とび森:とびだせ どうぶつの森
トモコレ新:ともだちコレクション 新生活
モンハン4:モンスターハンター4
ポケモンX/Y:ポケットモンスター X・Y
妖怪ウォ2:妖怪ウォッチ2 元祖/本家/真打
ポケモンOR/AS:ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア
モンハン4G:モンスターハンター4G
モンハンX:モンスターハンタークロス
ポケモンS/M:ポケットモンスター サン・ムーン
スマブラ3DS:大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS
ポケモンUS/UM:ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン
(4)情報源
- 決算資料(IRライブラリー)
- 主要タイトル販売実績
- 決算資料(IRライブラリー)
- 決算資料(IR資料室)
- ミリオンセールスタイトル
- 2021 CESAゲーム白書
- 2023 CESAゲーム白書
(なお、「CESAゲーム白書」は完全リニューアルされ、2024年度から「CESAゲーム産業レポート」として刊行)
(5)その他
あくまで当ブログが、一般に公開されている情報を集めて「出荷本数データ」として集計しているにすぎません。
日本国内で販売され、流通したすべてのゲームタイトルを網羅しているわけではない点につき、ご了承ください。
なので、もし上記の「(4)情報源」以外に一般的に閲覧できる良い時系列データがあれば、ぜひコメントなどで教えてほしいです。
また、各タイトルごとの月間の売上本数も、そのすべてを第三者が正確に把握することは不可能なので、当ブログが考える「ゲームソフトの売れ行きに関する一定の基準」で調整しているデータが多数含まれます。
あくまで「売上レースっぽい雰囲気を楽しむもの」とご理解いただければと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。