この記事はこれから始めるゲーミングキーボード(下の記事)で検討したゲーミングキーボードとして欲しい機能を踏まえ、おススメの機種を具体的に選定・レビューするものです。
これから始めるゲーミングキーボード1 ゲーミングキーボード概観
(1)欲しい機能の確認
まず前提として、自分が想定している目的や使い方に沿った「欲しい機能」を明確にしましょう。
そこを確認しないまま漠然とゲーミングキーボードを眺めても、「なんか七色に光ってんな~」くらいの感想しか出てきませんし、選ぶ際の判断基準も「なるべく高機能でなるべく安いモノ」という程度のあまり役に立たない基準になってしまいます。
この記事では、とりあえず以下の機能を前提として話を進めます。
- ① アンチゴースト機能
- ② Nキーロールオーバー機能
・「キーロールオーバー」の定義:キーボードで複数のキーが同時に押された場合、その押された順序に従ってすべて認識されるというスペック(「複数のキーを同時に押した場合に、最後に入力したキーが有効になる機能」ではない)
・「N」の数は多い方が良い(できれば「全キー」) - ③ キー割り当て機能(特定キーの無効化含む)
- ④ モード切替機能(「プロファイル管理」や「ゲームモード」など)
- ⑤ フルサイズ(テンキーあり)
・なお、個人的には日本語配列キーボード/英語配列キーボードのどちらでも可。
まず、①アンチゴースト機能と②Nキーロールオーバーは、「押下されたキーの種類と順番を、どの程度正確に検出・認識できる能力があるか」を示すもので、キーボードという機械の基礎や土台に当たる機能です。
そのため、特に「ゲーミングキーボード」を名乗る機種は、程度の差こそあれ、これら2つの機能を有している場合が多いですが、一応、購入前に確認した方が良いと思います。
ただし、これら2つの機能が「よく使用するキーに限定されている」という機種でも、私が使ってみた印象としては「プロ競技者ではない一般的なゲーマーが遊ぶ程度であれば、おおむね問題なさそう」と感じました。
③キー割り当て機能は、個人的にはかなり重宝しています。
というのも、私のキーボードの使い方だと、[Alt]・[Shift]・[変換]・[無変換]などのいわゆる「修飾キー」「特殊キー」にも「別のキー」を割り当てたいんですよね。
ところが、[Windows]キーといった「特定キーの無効化」機能は多くの機種で搭載されているのですが、「キー割り当て機能」がある機種は思いのほか少ないです。
メーカーとしては、Razer、Corsir、Elecomの3社は「キー割り当て機能」を明記していますが、他メーカーは、「一部のキーのみ対応」(Logicool社)とか、そもそも「対応しているのかよくわからない記載」「記載がない」(おそらく対応していない)というケースが多いです。
④モード切替機能(「プロファイル管理」や「ゲームモード」など)は、「特定キーの無効化」機能に対応している機種は大体採用している印象です。
なお、上記「③キー割り当て機能」でキー変更を行っている場合は、ワンタッチで「ゲームモード」と「通常モード」を切り替えられるのはメチャクチャ便利というか、「ゲーム中のチャット」や「ゲーム外での普段使い」にとってほぼ必須の機能と個人的に感じます。
「フルサイズ(テンキーあり)」については、私がキーボードの「ゲームだけでなく普段使い」も想定しているために欲しい機能です。
ゲーム使用に特化している場合は、テンキーレスのコンパクトサイズ・キーボードも選択肢に入ると思います。
(最近のトレンドは明らかにテンキーレスでしょう)
「日本語配列キーボード」と「英語配列キーボード」のどちらが良いか?については、実際に両方購入して使い勝手を検討した結果、それぞれ一長一短はあるものの、ゲームを遊ぶうえでは「どちらでも大きな問題はない」ことを確認できました。
なので、「日本語配列」でも「英語配列」でも、欲しい機能と価格が見合えばどちらでも良いと思います。
【参考記事】
・これから始めるゲーミングキーボード
・FF14をキーボードのみで遊ぶ方法を考えた(日本語配列キーボード版)
・FF14をキーボードのみで遊ぶ方法を考えた(英語配列キーボード版)
(2)各メーカーの総評
国内外のゲーミングデバイスのメーカー各社について、ざっとホームページや家電量販店の商品ページを調べてみて、私が「欲しい機能①~⑤」を有するキーボードを出してくれている主要なメーカーは下記の4社です。
最近はテンキーレスが主流のため、「⑤フルサイズ(テンキーあり)」が意外に少ないんですよね。
ゲーミングデバイスのメーカーとしては皆さんご存知の大手です。
ゲーミングキーボードの品揃えはRazerが一番豊富かもしれません。
同社の製品説明ページでは英語配列キーボードを前提とした内容であることが多いですが、量販店では日本語配列モデルもしっかり並んでいるので、お店に足を運んで実際に確認するのも大事かと思います。
Razerと比べると知名度は少し劣る印象ですが、Corsairもラインナップは10,000円以下の低価格帯から50,000円クラスの高級モデルまで幅広くカバーしており、基本的に多機能・高機能で統一されている印象です。
個人的には、①~⑤の機能(条件)をすべてを満たし、かつ価格も10,000円以下だった「K60 PRO CH-910D029-JP 」(現在は生産終了)がコスパ最強でした。
しかし、現在の価格帯は、多機能・高機能に相応しRazerに比べると少し高めです。
(低価格モデルはやはり利益的に厳しいのか、それとも昨今のインフレの影響か・・・)
ゲーミングデバイスは専門の海外メーカーの方が有名ですし、量販店での展示や見栄えの点でも海外製のキーボードが目立っています。
しかし、日本にも頑張っているメーカーがいるのを忘れるべきではありません。
Elecomは “ELECOM GAMING V custom” というブランドを立ち上げてゲーミングデバイスの展開に力を入れています。
海外製品のブランド力にはまだ敵わないかもしれませんが、ゲームのための嬉しい機能が充実していて真正面から機能性とコストパフォーマンスで勝負を挑んでいる印象です。
国内のメーカーでここまでゲーミングデバイスに力を入れているのはElecomくらいだと思います。
現在のラインナップはテンキーレスが主流のため私の希望からは外れますが、テンキーレス希望なら検討すべきメーカーです。
ラインナップは10,000円以下の低価格帯から30,000円クラスの高級モデルまでカバーしており、基本的にどの機種でもキー割り当て機能を備えているようです。
私の希望であるフルサイズ(テンキーあり)のキーボードは少ない印象ですが、テンキーレス希望なら検討すべきメーカーだと思います。
※Logicool(ロジクール)
意外だったのが、ゲーミングデバイスでは一番大手と思われるLogicoolです。
量販店のゲーミングデバイスコーナーでも売り場面積が一番大きいし、デザインもお洒落で種類も豊富。
当然、真っ先に調べたメーカーなのですが、Logicoolのキーボードは「キー割り当て機能」が限定的なんですよね。
(「ファンクションキーのみ」とか「専用のGキー」のみとか)
「キー割り当て機能」が限定的な理由はわかりませんが、eスポーツなどの競技性・公平性が求められる場面では「余計な機能(いわゆるチートと同等)なので不要」みたいなことでもあるんでしょうか?
◆Steelseries
主力機種は20,000円以上の高価格帯モデルと思われる。
日本語配列&10,000円台の機種もあるものの、上記4社と比べると高めの価格になるので優先順位は落ちる。
ただし、”SteelSeries Engine” (ソフトウェア)でキー割り当てはできる模様なので、店頭での実売価格が予算範囲なら十分選択肢に入る。
◆東プレ
キースイッチタイプが「静電容量無接点方式」というもので、高性能・高耐久が訴求ポイント。
最低でも20,000円以上の価格帯になるため、どうしても優先順位は落ちる。
しかし、国内メーカーでゲーミングキーボードに力を入れているのは確かなのと「静電容量無接点方式」という独自性があるので、店頭で実機を確認してみるのがおススメです。
◆Msi
日本語配列&10,000円台前半からのラインナップを揃えているが、キー割り当て機能はない模様。
◆ASUS
ブランドとしては”Republic of Gamers” (ROG)と”TUF Gaming”の2つある模様。
違いがよく分からず。
また、全般的にキー割り当て機能には対応していない印象。
◆バッファロー
一応ゲーミングキーボードはあるが、あまり力は入れていない模様。
◆HORI
いわゆる「ゲーミングキーボード」はない模様。
2 詳細
5段階(★の数)での評価と、簡単な評価ポイントを示しています。
(1)メカニカル式
メカニカル式については、本命のおススメ機種として3つご紹介します。
BLACKWIDOW V3 (Razer)
- 量販店などの販売価格は15,000円程度で、他社も含めた同クラス機種の中では最安レベル。
それにもかかわらず、アームレストが付属していたり、「キー軸」が「グリーン(硬くクリッキーな打鍵感)」と「イエロー(柔らかく静かな打鍵感)」の2種類が用意されていたりなど、高級感やカスタマイズ性といったゲーミングキーボード特有のニーズにもしっかり配慮されている。
さすがRazerという感じです。 - アンチゴースト機能あり、Nキーロールオーバー(全キーロールオーバー)。
- ほぼ全てのキーが割り当て機能に対応。
(管理ソフトウェア「Razer Synapse」による各キーごとのカスタマイズに対応)
ただし、「Windows」キーと「fn」キーは割り当て変更できないため、左右の親指で使えるキーボード最下段のキーが若干制限される。 - 「Razer Synapse」によるプロファイル管理と「切り替えキー」の割り当てが可能。
「Windows」キーと「fn」キーは割り当て変更できないという若干の制限はありますが、「BLACKWIDOW V3」は欲しい機能がすべて入っており、価格も1万円台半ば、かつ現在メインで使っていて全く問題ないことから総合評価5点としました。
◆管理・設定画面
上記画像は「管理ソフトウェア『Razer Synapse』」の画面。
左側メニューの上から5番目に「プロファイル切り替え」の機能があります。
この機能で任意のキーに「プロファイル切り替え機能」を割り当てれば、ワンタッチで「ゲーム操作モード」と「チャット入力モード」を切り替えられる。
K70 CORE RGB (Corsair)
- 量販店などの販売価格は16,000~17,000円程度で、Razer、HyperXの同クラス機種と比べると少し高い。
ただし、生産終了の「K60 PRO」の上位版かつ実質的な後継最新モデルと考えれば、個人的には許容範囲の価格。 - 「Full Key (NKRO) with 100% Anti-Ghosting」との仕様記載があるので、アンチゴースト機能あり、全キーロールオーバー。
- 全キー割り当て機能に対応(統合管理ソフトウェア「iCUE」による各キーごとのカスタマイズに対応)。
- 「iCUE」でのプロファイル管理と「切り替えキー」の割り当てが可能。
2023年11月3日に発売された最新モデルです。
欲しい機能が全部入りのなので個人的にはかなりおススメですが、”BLACKWIDOW V3″ より少し価格が上がるので総合評価4.5点としています。
上記画像は統合管理ソフトウェア「iCUE」の画面。
「プロファイル切り替え」は “Fn + F2” (デフォルトキー設定)で可能です。
また、Windowsキーにもキー割り当て可能。
Alloy Origins 4P4F6AJ#ABJ (HyperX)
- 量販店などの販売価格は15,000円程度で、Razer・BLACKWIDSOW V3と同程度。
ただし、日本語配列モデルはいわゆる「赤軸」(柔らかく静かな打鍵感)のみに限定されているようで、カスタマイズ性はBLACKWIDSOW V3に若干劣る。 - 量販店の製品説明には「アンチゴースト:100%アンチゴースト」「キーロールオーバー:Nキーモード」との記載があるので、アンチゴーストと全キーロールオーバーは問題なし。
- 管理ソフトウェア「HyperX NGENUITY」による各キーごとのカスタマイズに対応。
- 「ゲームモード」や「3つプロファイル用オンボードメモリ」も搭載しており、通常モードとの切り替えも問題ないと思われる。
欲しい機能が全部入りで、価格もRazer・Razer・BLACKWIDSOW V3と同程度なのでおススメです。
(ただし、2023年11月現在、若干品薄でしょうか)
BLACKWIDSOW V3に唯一劣る点は “キースイッチが「赤軸」(柔らかく静かな打鍵感)しかない” というくらいだと思います。
(個人的には「柔らかく静かな打鍵感」も「硬くクリッキーな打鍵感」もそれぞれ特徴があって両方とも好きです)
私のイチ押しでしたが、2022年頃に生産終了となった模様。
利益的に厳しかったのか台数が出なかったのかわかりませんが、良い機種だっただけに残念です。
K60 PRO CH-910D029-JP (Corsair)
- 量販店などでの価格は1万円以下(7000~9000円程度)
- アンチゴースト機能あり
- 全104キーロールオーバー
- 全キー割り当て機能に対応(統合管理ソフトウェア「iCUE」による各キーごとのカスタマイズに対応)
- Windowsロックキー搭載(「iCUE」でのプロファイル管理と「切り替えキー」の割り当てが可能)
- 個人的には欲しい機能がすべて入っており、価格も1万円以下ということで文句なし(でした)
◆管理・設定画面
上記画像は「統合管理ソフトウェア『 iCUE』」の画面。左下の「割り当て」に表示されているように、「プロファイルスイッチ」として任意のキーを割り当てれば、ワンタッチで「ゲーム操作モード」と「チャット入力モード」を切り替えられる。
「クリック感」と「静音性・疲れにくさ」とのバランスが取れていて、K60 PRO CH-910D029-JP (Corsair)の後釜としてメインで使用していましたが、2023年頃に生産終了の模様。
TK-ARMA50BK (Elecom)
- メーカーサイトの定価は28,996円(税込)だったが、2023年時点で在庫処分のためか5,000円前後の販売価格が多く、いわば「型落ち高級モデルの在庫処分セール中」。
生産終了でも気にならないならおススメ。 - アンチゴースト機能あり。
- 全キーロールオーバー。
- Fnキーとゲーミングモード切替キーを除く通常キーすべてが割り当て機能に対応(専用ソフトウェアによる各キーごとのカスタマイズに対応)。
- ゲーミングモードとチャット(通常入力)モードを1ボタンで瞬時に切り替え可能。
- 基本的に日本語配列キーボードですが、FPSゲーム向けとして「変換キー」と「無変換キー」をなくしスペースキーを可能な限り広くしたオリジナル配列を採用(スペースキー周りは英語配列キーボードに似ている)。
◆管理・設定画面
(2)メンブレン
TK-DUX30BK (Elecom)
- 量販店などでは2,000~4,000円程度。
- キースイッチタイプ:メンブレン。
- 主要24キーにつき、12キーロールオーバー対応。
- 全キーにお好みの機能を割り当てることが可能。
- 戦闘用、チャット用などのプロファイルを専用キーで即座に切替え可能。
- キースイッチが「メンブレン式」なので押下の感触は多少「ブニブニ」した感触にはなる。
「アンチゴースト機能」と「キーロールオーバー機能」で若干見劣りすることから総合評価4点としました。
ただし、使っていてゴースト現象が発生した経験はなく、入門用のゲーミングキーボードとして十分おススメできる機種です。
◆管理・設定画面
上記画像は、「TK-DUX30BK」用の管理ソフトの画面。
「TK-DUX30BK」には、キーボード右上の赤線で囲われた5つのボタンがプロファイル切り替えボタンとなっており、文字通りワンタッチで5通りのプロファイル左下の「割り当て」に表示されているように、「プロファイルスイッチ」として任意のキーを割り当てれば、ワンタッチで「ゲーム操作モード」と「チャット入力モード」を切り替えられる。
3 まとめ
ということで、現時点での私の最推しキーボードは、
です。
また、TK-DUX30BKはメンブレン式の低価格モデルではありますが、基本機能は揃っておりコスパは良いので、初めてゲーミングキーボードを使ってみようという方にとっては入門用として十分おススメできます。
他方で、「日本語配列キーボード」と「英語配列キーボード」のどちらが良いか?については、それぞれ一長一短はあるものの、ゲームを遊ぶうえでは「どちらでも大きな問題はない」と思います。
あまり恐れずに機能と価格を見比べて、気に入った方を購入すればよいと思います。
本記事が、これからゲーミングキーボードを購入する方の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
以上
ゲーミングキーボードの使い方