Wii、プレイステーション3の国内出荷本数Top5についてバーチャートレースを作成しました。
Wiiが巻き起こした “レボリューション” を振り返るとともに、今までモヤモヤしていた「Wiiの尻すぼみ感」の正体も探ります。
1 うごくグラフ(1分10秒)
【Wii/PS3】国内上位5タイトルの出荷本数推移(バーチャートレース形式)
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前回は携帯機のニンテンドーDSがゲーム業界の停滞を吹き飛ばしていく様子を見てきましたが、今回は同時期の据置機、 Wii / PS3 がどうだったかを見て行きたいと思います。
なお、最初にお断りしておくと、今回の「【Wii/PS3】国内上位5タイトルの出荷本数推移」にPS3タイトルは登場しません。
一応、元データにはファイナルファンタジー XIII(2009年12月7日、190万本)が含まれてはいるのですが、同時期のWiiタイトルの方が売れていたため今回のBCRではランキング外となっています。
さてWiiですが、これがまた国内での評価については意外と難しい。
当時のゲーム業界の停滞を打破すべく、任天堂が率先して「ゲーム人口の増大」を対処すべき課題として掲げ(任天堂株式会社・第65期有価証券報告書15頁)、まず携帯機市場に投入されたのが「ニンテンドーDS」(2004年12月)。
そして、その2年後、満を持して据置機市場に投入されたのが「Wii」(2006年12月)で、モーションセンサーを利用したいわゆる “体感操作” は直感的にわかりやすく、ボタンだらけの専用機コントローラーによる複雑な操作に慣れていない非ゲーマー層に広く受け入れられました。
ローンチタイトルの「Wii Sports」(2006年12月)でWiiリモコンを片手に振り回して遊んだ覚えがある人や、「Wii Fit」(2007年12月)で日ごろの運動不足解消に努めた人も多いはず。
その結果、前世代機の「ニンテンドーゲームキューブ」の販売台数が2,174万台(世界)にとどまっていたのに対し、「Wii」は1億163万台(世界)まで販売台数を伸ばす劇的なV字回復を果たし(任天堂HP「ゲーム専用機販売実績」参照)、WiiがニンテンドーDSに続き大きなイノベーションをゲーム業界で起こしたことは誰もが知るところでしょう。
ただし・・・。
その華々しさとは裏腹に、国内でのミリオン越えタイトルは意外と少なくて14タイトルしかないんですよね。
(ニンテンドーDSでの国内ミリオン越えは38タイトル)
しかも、その14タイトルはすべて任天堂タイトルで、サードパーティのビッグタイトルは見当たりません。
もちろん、
- 大乱闘スマッシュブラザーズX(2008年1月)
- マリオカートWii(2008年4月)
- New スーパーマリオブラザーズ Wii(2009年12月)
といった人気シリーズは相変わらず大ヒットを飛ばしていますが、いかんせん大御所すぎるというか、ハズレなしの安心感ハンパない料理店の味というか、「驚き」はあまりない印象でしょうか。
(もちろん、こういった「世間の期待にきっちり応える」定番ソフトがとてつもなく偉大なのは言うまでもありませんが)
ということで、2011年後6月以降はあまりランキングに変動がなく、これはつまり「Wii後期は、国内では目新しいヒット作が出なかった」ことを意味します。
「Wiiの尻すぼみ感」について、今までは「なんかWiiって最初はスゴイ話題になったのに、いつの間にか話を聞かなくなったなあ」みたいなモヤモヤを個人的に感じていたのですが、そのモヤモヤの正体はコレだったのかもしれません。
2 注記
(1)グラフ形式
バーチャートレース(Bar Chart Race、BCR)
(2)期間
2001年1月から2007年10月まで
(3)略称一覧
マリパ8:マリオパーティ8
スーマリG:スーパーマリオギャラクシー
スマブラX:大乱闘スマッシュブラザーズX
マリカWii:マリオカートWii
NスーマリW:New スーパーマリオブラザーズ Wii
Wii Fit+:Wii Fit Plus
Wii Sports R:Wii Sports Resort
(4)情報源
- 決算資料(IRライブラリー)
- 主要タイトル販売実績
- 決算資料(IRライブラリー)
- 決算資料(IR資料室)
- ミリオンセールスタイトル
- 2021 CESAゲーム白書
- 2023 CESAゲーム白書
(なお、「CESAゲーム白書」は完全リニューアルされ、2024年度から「CESAゲーム産業レポート」として刊行)
(5)その他
あくまで当ブログが、一般に公開されている情報を集めて「出荷本数データ」として集計しているにすぎません。
日本国内で販売され、流通したすべてのゲームタイトルを網羅しているわけではない点につき、ご了承ください。
なので、もし上記の「(4)情報源」以外に一般的に閲覧できる良い時系列データがあれば、ぜひコメントなどで教えてほしいです。
また、各タイトルごとの月間の売上本数も、そのすべてを第三者が正確に把握することは不可能なので、当ブログが考える「ゲームソフトの売れ行きに関する一定の基準」で調整しているデータが多数含まれます。
あくまで「売上レースっぽい雰囲気を楽しむもの」とご理解いただければと思います。
以上、ご参考になれば幸いです。