ゲーミングPC選びの基本の「き」

以前、私は下記スペックのPC(中国へ赴任する直前の2017年3月に購入)を使っていたのですが、2022年に入ってからネット閲覧中にフリーズやクラッシュすることが増えてきました。
製品の大まかなスペックは下図のとおりです。

製品名Alienware 17 R4 (DELL)
CPUIntel Core i7-6700HQ CPU @ 2.60GHz
GPUGeForce GTX 1070 (NVIDIA)
メモリ16GB
ストレージ1TB(HDD)

ブログ記事用の画像作成や動画編集をしていて「何かと挙動が重かったりフリーズしたりする」というのは、やはり作業の効率性やデータ保存の観点で不安や不満を感じます。
ということでPCを買い替えようと決心し、改めて「ゲーミングPC選びの基本知識と最近のトレンド」をリサーチ&整理してみました。

1 前提条件

PCの自作ではなく、あくまで出来合いのWindows PC(BTO含む)を購入する前提です。

自作PCのロマンというか楽しみは私もわかるつもりです。
ブログ記事にせよYouTube動画にせよ、「見せてもらおうか、今度出た最新パーツの性能とやらを!」とか「コレとコレの組み合わせがコスパ最強!」とか「激重ゲームのベンチマークソフトを動かしたら、とてつもないハイスコアが出た!」みたいなのを眺めてると、見るからに楽しそうですからね。

ただ、自作PCとなると基本的には故障時の対応なども「頼れるのは己のみ」となるので、そもそも「自分の手でコンピューターを組み上げ、パーツを入れ替え、メンテすること」自体が目的(楽しい)にならないと、「肝心なときにやりたいこと(仕事やゲームなど)ができない」ことになって最終的にはツラくなってしまうと思います。
そこで、本記事では「出来合いのPC(BTO含む)の購入」前提として、PCや構成部品の良し悪しを紹介・解説しているブログ記事やYouTube動画の内容を理解し、自分に合ったPCを探せるようになるための基礎知識を解説することを目的としています。

また、Mac PC(Apple)は本記事の対象外となります。
Macはユーザーも多いですし、Mac PCでゲームを楽しんでいる方もたくさんいらっしゃるのは確かですが、いかんせんAppleが「ゲームを楽しむことに特化したPC」というカテゴリーを重視していないと思われるためです。

2 PC性能として押さえるべき基本項目

パソコンショップなどのWebページを眺めていると、

  • いわゆるエントリーモデル(性能は低めだが、お手頃価格のライトユーザー向け)
  • ゲーミングPC(ゲーム全般あるいは特定ゲーム向けに性能をアップ・強化)

という従来のカテゴリーに加えて、最近は

  • クリエーターPC(イラスト、動画、3DCG、CADなどの使用目的に応じて性能をアップ・強化)

というカテゴリーも登場しているようです。

こういう使用用途に応じたカテゴリー分け自体は合理的ですし、悪いということも全くないのですが、販売側(メーカーやパソコンショップ)の営業戦略(「こういうお客さんに売りたい」)に基づいている点には注意しましょう。
例えば、一口に「クリエーターPC」といっても「その仕事を本業としているプロ向け」から「素人が趣味でやる程度の作業向け」モデルまで性能の高低にはかなり幅があることが多いです。
なので、「ゲーミングPC」でも「並みのクリエーターPCよりよっぽど(過剰なくらい)性能が上で、場合によってはプロ向けとして十分使える」というものもあれば、「クリエーターPC」と謳われていても「ホームビデオの編集程度を想定しているだけで実はエントリーモデルから多少強化しただけ」みたいなこともあります。
繰り返しますが、こういうカテゴリー分けや販売側の営業戦略が悪いということではなく、「自分がイメージしているPCの使用目的や用途」と「そのために必要なPCの性能はどの程度か?」についてざっくりと把握していないと、「思ってたのとちょっと違ったなあ」とか「高い買い物しちゃったなあ」ということになりがちなのです。

この「ざっくり把握」の程度ですが、PC性能の「ざっくりポイント」というのは昔からそれほど変わっていません。
①CPU、②GPU、③メモリ、④ストレージの4つを押さえておけば大きな間違いはないでしょう。
そして、これらのパーツ(構成部品)は半年~1年といった短いスパンでどんどん上位互換が出てくる世界なので、いきなり個別製品の詳細スペックを逐一調べるよりも「最近のトレンド(大枠)」を理解するのが初心者にとっては有効です。

(1)CPU:Central Processing Unit

CPUは、”Central Processing Unit”(中央演算処理装置)の略で、その名のとおりパソコン内部ですべての演算処理を行うパーツであり、一般的にコンピューターの「頭脳」とも呼ばれます。
CPUの性能は主として「コア数」や「クロック周波数」などから判断されるのですが、とりあえず「コア数やクロック数の数字が大きくなると性能も上がる」くらいの理解でも大きな問題はないでしょう。
ただ、より実践的で役に立つであろう基本知識は「CPUメーカー」「製品のグレード」「製品の世代」です。

a. CPUメーカー

まず、CPUを開発しているメーカーとしては、何と言ってもIntel(インテル)AMD(エーエムディー)を押さえておきましょう。
「Apple(アップル)」(MacやiPad向けのM1シリーズなどを設計)や「Qualcomm(クアルコム)」(スマホ向けのSnapdragonシリーズなどを設計)といった他のCPUメーカーももちろん存在します。
しかし、少なくともPC向けCPUはIntelとAMDの二強で、どのPCメーカーやパソコンショップのサイトを覗いても基本的にこの2社以外の選択肢は存在しません。
なので、何か特別な理由やこだわりがなければ「IntelかAMDのCPUを選べば良い」という理解で問題ないでしょう。

b. 製品グレードと世代(一部のみ)

Intel(インテル)

製品グレード第13世代
(2022.10~)
第12世代
(2021.10~)
・・・
Core i913900など12900など
Core i713700など12700など
Core i513600など12600
12500
12400など
Core i3未発売?12100など
「Core iシリーズ」のほかにも「Xeon」(企業向け)、「Pentium」(低機能廉価版)、「Celeron」(低機能廉価版)といった製品グレード(モデル)はあるが、「性能/価格が高すぎるor低すぎる」ということで、個人向け用途として現在の日本国内の主流ではないと思われる。

AMD(エーエムディー)

製品グレードZEN4
(2022.9~)
ZEN3
(2020.11~)
・・・
Ryzen 97900Xなど5900Xなど
Ryzen 77700Xなど5800Xなど
Ryzen 57600Xなど5600Xなど
上記表に記載した以外にも「Ryzen 3」(低機能廉価版?)、「Ryzen Threadripper」、「Athlon」といったグレードもあるが、個人向け用途として現在の日本国内の主流ではないと思われる。

2023年1月時点では、CPUはIntelとAMD2社の製品ともに世代交代中という感じですね。
そうすると、買う側としては「最新の『Intel/第13世代』か『AMD/ZEN4』を搭載したPCが良さそう」というのが自然な発想ではあります。
しかし、ちょっと検索してみれば分かると思いますが、IntelにせよAMDにせよ最新世代CPUを搭載したPCは性能は当然良いものの、やはり高いです。
逆に、「1つ前の世代である『Intel/第12世代』や『AMD/ZEN3』を搭載したPC」の価格は相対的に安くなっていますし、実際のゲームやクリエイティブ用アプリ(動画編集ソフトなど)でのレビュー(ブログ記事やYouTube動画など)も出揃っているので、「自分がイメージしているPCの使用目的や用途」に合うかどうかという判断はしやすいです。
最新世代が出始めたばかりのタイミングなら一世代前でも十分な性能なことが多いですし、ここは個人の好みと予算との兼ね合いになりますね。
一方で、もし「自分は常に最新世代のパーツで固めたい」ということなら自作PCの道へ進んだ方が良いと思います。

(2)GPU:Graphics Processing Unit


GPUとは、”Graphics Processing Unit”(画像演算処理装置)の略で、コンピュータ内で特定の 3D演算を高速化するための専用集積回路として開発・実装されているものです。
昔(2000年代くらいまで)は「GPUが搭載されたパソコン」自体はごく少数で一般的ではなかったと思いますが、個人的には2010年辺りからゲームグラフィックのレベル向上に伴ってゲーミングPCへの搭載が進んだ印象です。
現在はGPUがないと「そもそも動かない」ゲームが多くなっていますし、動画編集・AI(人工知能)の利用・3DCG(画像処理、開発エンジン)用途などのニーズ拡大に伴って「これからPCを買うなら必須でしょ」と言っても過言ではないでしょう。
(仮にメールやネット閲覧だけを想定しているなら、PCではなくスマホやタブレットで十分ですからね)
GPUについても、より実践的で役に立つであろう基本知識は「GPUメーカー」「製品のグレード」「シリーズ」です。

a. GPUメーカー

まず、GPUを開発しているメーカーとしてはNVIDIA(エヌビディア)AMD(エーエムディー)を押さえておきましょう。
CPUはIntelとAMD以外にもそれなりに存在感のあるメーカーが複数いるイメージですが、GPUメーカーは正直「この2社しか聞かない」というレベルかと思います。
なので、必然的に NVIDIAかAMDのGPUを選ぶことになる ということになります。

b. 製品グレードと世代(一部のみ)

NVIDIA(エヌビディア)

製品グレードRTX 40 シリーズ
(2022.10~)
RTX 30 シリーズ
(2020.9~)
・・・
GeForceRTX 4090
RTX 4080
RTX 4070 Ti
など
RTX 3090 Ti / 3090
RTX 3080 Ti / 3080
RTX 3070 Ti / 3070
RTX 3060 Ti / 3060
RTX 3050
など
「GeForceシリーズ」のほかに「NVIDIA RTXシリーズ」(旧Quadroシリーズ、企業向け)というグレードもあるが、個人向け用途として現在の日本国内の主流ではないと思われる。

AMD(エーエムディー)

製品グレードRX 7000 シリーズ
(2022.12~)
RX 6000 シリーズ
(2020.11~)
・・・
AMD RadeonRX 7900 XTX
RX 7900 XT
など
RX 6950 XT
RX 6900 XT
RX 6800 XT
RX 6800
RX 6750 XT
RX 6700 XT
RX 6700
RX 6650 XT
RX 6600 XT
RX 6600
RX 6500 XT
RX 6400
「AMD Radeonシリーズ」のほかに「AMD Radeon™ PROシリーズ」というグレードもあるが、個人向け用途として現在の日本国内の主流ではないと思われる。

グラフィックボードとは?
ちなみに、実際にPCの取り付けられるパーツ名としては「グラフィックボード(いわゆる”グラボ”)」(または”ビデオカード”)が正確な名称で、GPUは”グラボ”の主要構成部品ということになります。
2023年1月時点では、CPUと同じく、GPUもNVIDIAとAMD2社の製品ともに世代交代中という感じですね。
そのため、GPUについてもCPUの状況と同じことが妥当します。
つまり、NVIDIAにせよAMDにせよ最新シリーズのGPUを搭載したPCは性能は当然良いものの、やはり高いです。
逆に、「1つ前のシリーズの『NVID

(3)メモリ

PCの構成部品としての「メモリ」はデータやプログラムを一時的に記憶する部品を指し、CPUとストレージ(HDDなど)とのデータのやり取りを中継する役割を担います。
よく使われる比喩が「机」や「作業台」で、「メモリの容量が大きい」=「机・作業台が広い」=「一度により多くの道具や書類(プログラムやデータ)を扱える」というイメージで説明されます。
ざっくり把握としては「メモリの容量が大きければ、PCの動作がより早くなったり安定したりする」で良いかと思います。

メモリに関しては昔から「どこのメーカーが良い」という話題で盛り上がることは少なく、基本的には「容量をどれくらいにしたらいいか?」という点に集約される印象です。
自作の最強PCを目指す場合は、当然メモリも「どこのメーカー/モデルにするか?」といったこともポイントになるんだろうと思います。

現在の私のPCのメモリは16GBで、ゲームを遊ぶだけならそんなに悪くない性能なのですが、冒頭でも述べたとおり、ゲーム以外でフリーズやクラッシュすることが増えてきているんですよねぇ。
今後も画像・動画などの編集作業はやるでしょうし、”Unreal Engine 5″も使いたいと考えているので、32GBか64GBのどちらにしようか検討中です。

(4)ストレージ(記憶領域、データ保存領域)

PCの構成部品としての「ストレージ」はデータを長期間保管・保存する部品を指し、種類としてはHDD(Hard Disk Drive、ハードディスク)、SSD(Solid State Drive)、USBメモリなどが現在の主流でしょう。
また、各種類に共通する大きな分類として「内蔵型」と「外付け型」がありますが、個人用途のPCでは「内蔵型ストレージの種類と容量をどうするのか?」がポイントになります。

HDDはSSDより安価かつ大容量なので、「PCの内蔵型ストレージ」といえば長らくHDDが主流でしたが、2020年以降はSSDの価格低下と大容量化が進み、内蔵型SSDの採用が増えてきています。
今はHDDからSSDへの過渡期と思われる一方で、各パソコンショップの基本構成を眺めていると「内蔵型ストレージ」はSSDが標準で、HDDは画像や動画などのサイズが大きいデータを扱う人向けのオプション(+アルファ部品)となっていることが多いです。
したがって、「内蔵型ストレージはすでにSSDが主流になりつつある」と捉えた方が良いでしょう。

(5)その他

CPUとGPUの性能上昇に伴い冷却性能も重要度が増しています
CPUやGPUは熱暴走により本来の性能を発揮できなくなるだけでなく、その寿命も縮めてしまうリスクがあるためです。
そのため、CPUやGPUの冷却性能(空冷式で足りるのか?より冷却性能が高い水冷式の方が良いのか?)について解説・レビューしているブログ記事やYouTube動画も多いですし、PC購入時のオプションも面倒臭がらずにしっかり確認した方が良いでしょう。

3 PCメーカー一覧

「ゲーミングPC」で検索すると、いわゆる「パソコンショップ」や「PCパーツショップ」をルーツとする中堅PCメーカーが上位に表示されます。
その理由は以下の点かと思います。

  • もともと「ゲーミングPC」は「コアなゲーマー向けの製品」のため市場規模は大きくなく、膨大な人員と設備を抱える大手PCメーカーにとってそれほど魅力的な市場ではない。
  • 顧客層が「コアなゲーム好き」「コンピュータ好き」なので「自分好みのPCカスタマイズ」に対するニーズが強く、個別のPCパーツを幅広く揃えている「ショップ」の方が個別オーダーに基づく少量生産に向いている(小回りが利く)。

「PCパーツショップ」をルーツとする中堅メーカーがパーツ単品よりも利益が大きいであろうBTOパソコン(=ゲーミングPC)の広告宣伝に力を入れるのは当然でしょうし、品質や保証体制などに問題がなければ悪いことは何もありません。
一方で、大手PCメーカーでも「ゲーミングPC」を製品ライナップに加えているところはありますし、BTO生産も「PCパーツショップ」をルーツとする中堅メーカーの専売特許というわけではありません。
“Build-To-Order”の略。受注生産の意味だが、ゲーミングPCでは「基本構成」から限られた部品についてのみ顧客が選択・変更可能というケースが多い。

ということで、買う側としては「検索結果」や「ブログ記事やYouTube動画のおススメ」で提示される情報のみに依存するのを避けるためにも、「どんなPCメーカーが存在するのか?」については前提知識として「ざっくり把握」しておいた方が良いと思います。

(1)ゲーミングPCブランドあり

a. 大手PCメーカー
  • NECレノボ
    中国のレノボ社がIBM、NEC、富士通のPC事業を買収/出資した経緯があるため、実質は「レノボ・ブランド」と理解した方が良いかもしれません。
    2022年夏、NECパーソナルコンピュータ株式会社(NEC PC)が24年ぶりにゲーミングPCに再参入し、「LAVIE GXシリーズ」を展開しています。
  • 日本ヒューレットパッカード
    ゲーミングPCは「OMEN(オーメン)」と「VICTUS(ヴィクタス)」の2ブランドを展開しています。
  • DELL
    ゲーミングPCは「Alienware」ブランドで展開しています。
    冒頭でも述べたとおり、私の今のPCが「Alienware」で、購入してからの6年間は大きな故障もなく満足度は高かったです。
b. 中~小規模メーカー
c. PC周辺機器メーカー

有名どころとしてはASUS(エイスース)Acer(エイサー)辺りでしょうか。
他にもゲーミングPCを展開しているPC周辺機器メーカーはあると思いますが、本業が「PC本体」でも「PCパーツ」でもないので、ゲーミングPCメーカーとしてはマイナーと言わざるを得ないと思います。

(2)ゲーミングPCブランド見当たらず

以下は、今回調べてみて「ゲーミングPCブランド」が見当たらなかったPCメーカーです。
私の調査・理解不足の可能性や、今はなくとも将来ゲーミングPCを展開する可能性も考慮し、参考情報として記載しておきます。
(リンクも貼っていません)

a. PCメーカー
  • APPLE(Mac)
  • 富士通
  • 東芝(Dynabook)
  • SONY
  • パナソニック
  • LG(エルジー)
  • HUAWEI(ファーウェイ)
b. その他
  • マイクロソフト(Surface)
    どちらかと言うと、iPadのようなタブレット端末に近い印象のため。

4 まとめ

本記事の内容に従ってすぐに「自分に合ったメーカーの具体的な機種」まで直ちに特定できるようになるわけではありませんが、インターネットや店頭で収集できる情報の理解や、自分に合ったゲーミングPCのアタリをつけるために必要な前提知識は網羅できているのではないかと思います。

この記事が、ゲーミングPCの購入を検討されている方(特に、初めてゲーミングPCを購入する方)の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

以上

これから始めるゲーミングキーボード

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